民事再生手続のメリット
■ 民事再生手続の活用には、@商権の毀損を防ぐ、A担保権抹消の可能性が飛躍的に高まる、B詐害行為取消のリスクを最小限に抑えるなどのメリットがある。
破産手続でも、裁判所の許可を得て事業を継続できる可能性もありますが、破産申立てとともに急速に商権が毀損されてしまうことが多く、事業譲渡を考えている場合は、お勧めできる選択ではありません。
民事再生手続の活用には、以下のメリットが挙げられます。
民事再生手続では、事業譲渡・株式譲渡を前提とした「プレ・パッケージ」型と呼ばれる手法があり、再生手続開始後の早い段階で、債権者の意見聴取集会・裁判所の許可の手続を経て事業譲渡・株式譲渡を実施することにより、商権の毀損を相当程度防ぐことができます。東京地方裁判所では、「民事再生手続標準スケジュール」が定められており、手続はかなり迅速に進められています。
メリット2−担保権抹消の可能性が飛躍的に高まること |
民事再生手続には、最後の手段というべきものですが、担保権消滅請求という手続が設けられております。これは、裁判所の許可を得て事業用資産(工場の土地建物や機械設備など)の担保権を相当対価の支払により消滅させる手続です。実務的には、このような制度があることを最後の拠り所として、早期に不動産鑑定士などに依頼して担保目的物の鑑定評価を実施し、担保権者との間で担保権抹消の交渉を実施します。民事再生手続を利用しない場合とは異なり、裁判所の関与があるため、価格や手続の公正さが担保されることから、銀行などの担保権者が担保権の抹消に応じる可能性は飛躍的に高まります。
メリット3−詐害行為取消のリスクを最小限に抑えること |
事業譲渡は、財産権の譲渡を含むので、債権者から詐害行為(債権者を害する行為として取り消すことができる制度)のクレームを受けるリスクがあります。しかし、民事再生手続における事業譲渡は、債権者の意見聴取集会を開催した上で、裁判所の許可を得て実施されることから、詐害行為取消のリスクを最小限に抑えることが可能となります。
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