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遺留分に関する民法の特例
■ 遺留分とは
相続人は、たとえ被相続人が他の相続人にすべての遺産を与える遺言を残した場合であっても、法定相続分の1/2については、自分の取り分として主張することができます。これを遺留分といいます。
■ 特例の内容
新法では、先代経営者の生前において、後継者が遺留分権利者全員と合意することにより、
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@ |
生前贈与により取得した自社株式等の財産を遺留分算定基礎財産から除外すること |
A |
生前贈与により取得した自社株式の評価額を合意時の価格(価格の相当性につき弁護士、公認会計士、税理士等の証明が必要)で固定すること |
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が可能となります。
@により、事業継続のために不可欠となる自社株式等につき、後継者以外の相続人からの遺留分減殺請求(遺産の取り分の主張)を未然に防止することができます。
Aにより、株式の生前贈与後に後継者の貢献により株式の価値が上昇した場合であっても、遺留分の算定については、予め固定した上昇前の評価で計算されることとなり、価値の上昇分を後継者が保持できることとなります。
■ 特例が使える中小企業
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業種 |
資本金額 |
ま
た
は |
従業員数 |
製造業、建設業、運輸業 |
3億円以下 |
300人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
サービス業 |
5000万円以下 |
100人以下 |
小売業 |
50人以下 |
※ その他の業種についても政令で定めるものがある。
※ 個人営業の場合は資本金は関係ない。
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以上の要件を満たす中小企業のうち、一定期間以上継続して事業を行っているものとして経済産業省令で定める要件に該当する場合に、特例が使えます。
■ 特例を使うための要件
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@ |
後継者を含む全相続人間で書面による合意をする。 |
A |
@の合意をした後継者が、経営の承継の円滑化のためにされたものであること等について、経済産業大臣の確認を受ける。 |
B |
@の合意をした後継者が、Aの確認を受けた日から1か月以内に、家庭裁判所に申立てをして許可を受ける。
※ 従前の遺留分放棄は、当事者全員が個別に申立てを行うことが必要 |
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金融支援措置
■ 金融支援措置の内容
経営者の死亡等に伴い、株式・事業用資産の取得資金、信用力の低下時の運転資金、相続税負担等の資金調達を支援するため、以下の特例が設けられます。
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@ |
経済産業大臣の認定を受けた中小企業に対し、中小企業信用保険法の特例として、資金借入に関する普通保険、無担保保険、特別小口保険の別枠を設ける。 |
A |
同じく認定を受けた中小企業の代表者に対し、日本政策金融公庫法の特例(代表者)として、事業活動の継続に必要な資金の貸付を可能とする。 |
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非上場株式等の相続税の軽減措置
■ 改正の概要
平成21年度の税制改正において、事業承継に関し、非上場株式等の相続税の軽減措置について、現行の10%減額から80%納税猶予に大幅に拡充し、かつ、対象を中小企業全般に拡大する内容の改正が行われます。この改正は、上記の新法の施行日(平成20年10月1日予定)以後の相続に遡って適用されます。
■ 軽減措置が使える中小企業
上記の表に該当する中小企業が対象となります。
■ 軽減措置の内容
後継者が取得した株式等の課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。
■ 特例を使うための要件
5年間の事業継続(代表者であること、雇用の8割以上を維持すること、相続した対象株式を継続保有すること)が要件となります。そして、後継者が死亡の時まで対象株式を保有し続けた場合など一定の場合に、猶予した税額の納付が免除されます。
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