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株主総会の権限
■ 株主総会の権限は、取締役会を設置するか否かで異なる。
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取締役会設置会社 |
会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り決議することができる(295条2項)。 |
取締役会非設置会社 |
会社法に規定する事項及び会社の組織、運営、管理その他会社に関する一切の事項について決議することができる(295条1項)。 |
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招集手続き
■ 招集の決定
取締役会(取締役会設置会社)または取締役(取締役会非設置会社)が以下の事項を定めて、招集通知に記載または記録し、株主総会の2週間前(BCを定めた場合を除き、非公開会社=全部の株式を譲渡制限株式としている会社においては原則として1週間前)までに、株主に対し通知しなければなりません。
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@ 株主総会の日時及び場所(298条1項1号) |
A 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項(298条1項2号) |
B 書面による議決権行使(書面投票制度)を実施するときは、その旨(298条1項3号)
なお、議決権を行使できる株主が1000人以上である場合には、原則として書面投票制度を定めなければならないとされています(298条2項)。 |
C 電磁的方法による議決権行使を実施するときは、その旨(298条1項4号) |
D その他施行規則63条に定める事項(298条1項5号) |
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■ 招集通知
招集通知は、取締役会設置会社では、書面または電磁的方法により行い(299条2項2号、3項)、取締役会非設置会社では、方法の制限がなく、口頭でも可能であり、計算書類・監査報告書の交付も要しないとされています(437条)。ただし、書面や電磁的方法による議決権行使を実施する場合は、株主に参考書類や議決権行使書面等を交付しなければならないので(301条、302条)、招集通知の送付が必要となります(299条2項1号)。
■ 招集地の制限の撤廃
招集地に関する制限は撤廃されましたが、株主の出席に支障があるような遠隔地等で開催した場合などは株主総会決議取消事由となる場合もあるでしょう。なお、定款で招集地を制限することが可能であり、従来定款に招集地の定めをしていた会社はその定めがあるばかりに開催地が拘束されてしまう場合も考えられますのでご注意ください。
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議事手続き
■ 議長について
会社法では議長の選任についての規定はないので、あらかじめ定款で定めておく、議場で選任する等いろいろな方法が考えられるでしょう。議長は、株主総会の秩序を維持し、議事を整理するものとされ、株主総会の秩序を乱す者を退場させることができます(315条)。
■ 取締役等の説明義務
取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について説明をしなければなりません。ただし、以下の場合には説明をしなくてもよいとされます(314条、施行規則71条)。
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@ 株主総会の目的である事項に関しない事項 |
A 説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合 |
B 説明をするために調査することが必要である場合(当該株主が相当の期間前に当該事項を会社に対して通知していた場合、説明をするために必要な調査が著しく容易である場合を除きます) |
C 説明をすることにより会社その他の者(当該株主を除く)の権利を侵害することになる場合 |
D 実質的に同日の事項について繰り返して説明を求める場合 |
E 説明することができないことにつき正当の事由がある場合 |
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■ 決議要件
新会社法では、決議要件について309条にまとめられました。
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普通決議(1項) |
議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数。定款で別の定めができる。
役員の選任・解任については議決権の過半数(定款で定めることにより三分の一以上)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数。定款で加重できる。 |
A |
特別決議(2項) |
議決権の過半数(定款で定めることにより三分の一以上)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の三分の二以上の多数。定款で加重できる。 |
B |
特殊決議(3項) |
議決権を行使できる株主の半数以上で、当該株主の議決権の三分の二以上の多数。定款で加重できる。 |
C |
特殊決議(4項) |
総株主の半数以上で、総株主の議決権の四分の三以上の多数。定款で加重できる。 |
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■ 決議、報告の省略
取締役または株主の提案につき、当該事項につき議決権を行使できる株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会決議があったものとみなされます(319条)。
取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなされます(320条)。
■ 議事録
株主総会議事録を作成し、本店に10年間備え置き、支店に5年間写し(または電磁的記録)を備え置く等しなければならず、株主及び債権者は、会社の営業時間内はいつでもその閲覧または謄写を請求できるとされています(318条)。議事録の記載事項は施行規則72条に定められています。
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新会社法施行に向けての対応
■ 施行日前の決算期に関する決算手続きには現行法(会社法施行前の商法)が適用される。
会社法施行日(平成18年5月1日予定)前の決算期に関する計算書類、付属明細書の作成、監査及び承認の方法や剰余金配当については、現行法(会社法施行前の商法)が適用されます(整備法56条、99条、100条)。
■ 施行日前に招集手続きを開始すれば、株主総会の権限や手続きには現行法(会社法施行前の商法)が適用される。
会社法施行日前に招集手続きを開始(取締役会設置会社においては株主総会招集決議のための取締役会開催日)すれば、株主総会の権限や手続きについては、現行法(会社法施行前の商法)が適用されます(整備法90条)。
■ 定款の閲覧請求に対する準備
中小企業のための新会社法@で解説したとおり、整備法により、定款に記載がないものであっても、定款に定めがあるものとみなされる事項があります。定款の閲覧請求があった場合、これらの事項についても示さなければならないとされていますので(整備法77条)、定款のほかみなされる事項を記載した書類を用意しておく、みなされる内容を反映させ定款を改める等の準備をしておく必要があります。
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