違法な剰余金の分配、利益供与の責任
■ 違法な剰余金配当に関する職務を行った取締役等は、会社に対し、連帯して、交付した金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負います。
会社が分配可能額を超えて株主に対し剰余金の配当をした場合には、当該剰余金配当に関する職務を行った業務執行者(下表参照)は、会社に対し、連帯して、交付した金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負います(会社法462条1項、461条1項8号、会社計算規則187条8号)。
業務執行取締役 |
剰余金の配当による金銭等の交付に関する職務を行った取締役 |
剰余金配当を決議した株主総会において議案を提案した取締役や剰余金の配当に関する事項について説明した取締役 |
剰余金配当を決議した取締役会において議案を提案した取締役や剰余金の配当に賛成した取締役 |
監査役等の請求に応じて分配可能額の計算に関する報告をした取締役 |
■ 株主の権利行使に対する財産上の利益供与に職務を行った取締役等は、会社に対し、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負います。 会社が株主の権利行使に対し財産上の利益を供与したときは、当該利益供与に関する職務を行った取締役等(下表参照)は、会社に対し、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負います(会社法120条、会社法施行規則21条)。
当該利益供与に関する職務を行った取締役 |
利益供与を決議した取締役会において決議に賛成した取締役や利益供与に関する議案を提案した取締役 |
利益供与を決議した株主総会において利益供与に関する議案を提案した取締役・当該議案の決定に賛成した取締役・当該議案の提案をする旨の取締役会決議に賛成した取締役や利益供与に関する事項について説明した取締役 |
■ 違法な剰余金の分配や利益供与の責任は、原則として免除されません。
違法な剰余金の分配や利益供与の責任は、特別法定責任とされており、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときまたは総株主の同意がある場合を除いて、免除されません(会社法462条2、3項、120条4項ただし書き、5項)。
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