システム開発・web制作と契約上の注意点A(弁護士 寺澤政治)
 当社のコモンルーチンを他のシステム開発で使えない!?」


システム開発、web制作等の契約の際、開発者として特に注意しなければならない問題についてご説明します(2007/6/1)。


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プログラムと著作権

 コンピュータ・プログラムは、「プログラムの著作物」として著作権の保護を受けます(著作権法2条1項9号の3)。会社が行うシステム開発において、その業務に従事する従業員等が職務上作成したプログラムについては、原則として会社が著作者となります(著作権法15条2項)。
 ソフトウェア会社(開発者)にシステム開発を委託した場合、成果物であるプログラム等の著作権は開発者に帰属することとなるので、注文者としては、開発者から著作権の譲渡を受けるとともに、著作者人格権を行使しない旨の契約を締結しておく必要があります。そこで、注文者から提示されるシステム開発等の委託契約書には、通常以下のような条項が設けられています。

本件成果物に関する所有権及び著作権(著作権法第21条から第28条に定める権利を含む)は、甲より乙に委託料が完済されたときに、乙から甲に移転し、乙は著作者人格権を行使しないものとする。
※注 甲:注文者 乙:開発者


 しかし、この条項のままでは、開発者にとって重大な不利益が生じてしまうことに注意しなければなりません。


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移転してはいけない権利

 ソフトウェア会社(開発者)は、他のシステム開発等でも利用できるノウハウ、コモンルーチン、モジュール、プログラム、スクリプト、イメージ・動画・音声等のデジタルデータ、クリエイティブ等の共通プログラムまたはデータを保有しております。
 ところが、上記の条項のままでは、開発者が保有する共通プログラム及びデータに関する権利も開発者から注文者に移転してしまい、開発者が他の開発等においてこれらを使用できなくなってしまうのです。
 共通プログラムまたはデータは、開発者にとってはたいへん重要な開発資源であり、権利の移転の対象から除外しておかなければなりません。



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共通プログラム及びデータの権利を守るための条項

 そこで、共通プログラムまたはデータの権利を守るために、以下の条項を必ず設けるようにしてください。

本件成果物に関する所有権及び著作権(著作権法第21条から第28条に定める権利を含む)は、甲より乙に委託料が完済されたときに、乙から甲に移転し、乙は著作者人格権を行使しないものとする。ただし、乙が従来より権利を有していたもの、並びに、他のシステム開発においても共通に利用されうるノウハウ、コモンルーチン、モジュール、プログラム、スクリプト、イメージ・動画・音声等のデジタルデータ及びクリエイティブ等の共通プログラム及びデータに関する権利は乙に留保されるものとし、乙は、これらを利用して他のシステム開発を行うことができる。
※注 甲:注文者 乙:開発者


 なお、注文者としては、以上のような開発者の権利留保条項が設けられた場合、開発者に留保された権利について、開発者より使用許諾を受け、著作者人格権を行使しない旨の条項を設けておく必要があります。





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