■ 信託の当事者、信託財産、信託の目的 信託法2条1項において、信託とは、「特定の者(受託者)が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすること」をいうと定義されています。
すなわち、下図のとおり、財産を有している者が委託者となり、受託者に対し財産を移転します。受託者は、委託者の定めた一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をして、一般的には、委託者が利益を与えようと意図した者である「受益者」に、経済的利益を帰属させるというのが、信託の基本的な構造です。
@ 信託においては、一般的には、「委託者」、「受託者」、「受益者」とい3つの当事者が出てきます。
A 信託においては、まず一定の財産(信託財産)が存在し、信託の効力を生じたときに、財産が受託者に帰属します。この財産とは、典型例としては、金銭、不動産や動産の所有権、金銭債権、著作権や特許権などの知的財産が挙げられます。委託者の不動産に受託者を抵当権者として抵当権を設定することにより抵当権という財産を受託者に帰属させることもあります。議決権行使を目的とする株式自体の信託的譲渡(議決権信託)も有効とされています。
B 信託においては、受託者は、一定の目的に従って、その信託財産の管理や処分など、その目的の達成のために必要な行為をする義務を負うことになります。